足音があまりうるさくならないように最上階まで昇った8人は
静かにそいつの部屋のドアの前に立った。
呼び鈴を鳴らす前にドア横の大きなすりガラスから様子を窺う。
奥の部屋の電灯がつけっ放しなのは夕方と変わらない。
これなら直視は不可能だが、シルエットは見ることができる。
動くものはなかった。
「あ、あれ?」
ガラガラ、と音を立てて窓が開いた。
なんの気なしに手をかけたら動いてしまったのだ。
リフォームの電灯といい、「随分と不用心だな・・・」
さすがに家屋侵入はどうかと思ったので、とりあえず顔を突っ込んでみた。

本人の姿はなく、人の気配もしない。留守のようだ。
しかし、それにしても。
部屋の中には雑然としながらも、ステレオコンポやビデオ、
レーザーディスクなどが並べられていた。
服も仕事着以外にもオシャレな衣装めいたものが5、6着ほど
カーテンのレールにかけられている。
これが人に借金して逃げ回る奴の暮らしなのだろうか。